まちの保健室-松山くみ

保健師・看護師・産後ケア講師 [名古屋・豊田・東郷町]

産後に多い「尿もれ」のはなし

産前・産後に関するトラブルについて、
保健師・看護師・産後ケア講師の松山くみが
産後のプロフェッショナル目線でコラムを連載してきます!
※毎月更新予定

◎尿もれの現状

今増えている?「尿もれ」。十数年前はドラックストアなどで見られなかった尿もれパット。
私が看護師をしていた時代は、病院の売店で医療用品として扱っており、患者さんと車椅子の送迎途中に売店で一緒にお買い物をしたのを鮮明に覚えています。
介護用オムツではなく尿もれパットというものがあるんだ・・・と。それだけ、医療用品としては特別なものであったのでなないでしょうか。
現在は、可愛い、そして匂い付きの尿もれパットが普通に手に取ることができます。それだけここ十数年で尿もれをしている女性が増えているんだな・・・と思っています。

公益財団法人日本医療機能評価機構によれば、

産褥期の尿失禁における主要な症状は身体動作に際して起こる尿漏れであるが、産褥期に尿失禁を訴える人の29.8%に、尿意のある時に切迫感を自覚しながら起こる尿漏れが観察される。したがって、産褥期の尿失禁は混合性尿失禁を含む場合があるものと考えられる。産褥期に自覚的な尿漏れの保有率はかなり高く、産後8週間の時点で38%、出産直後から2年後までの女性集団では23.5%と報告されている。経産女性集団を出産の回数で分類して比較すると、出産回数の増加により尿失禁の保有率は有意に上昇する。

とあります。
つまり、出産を経験した女性の約4割が尿もれを経験し、産後2年を経験してもなお約2割の女性が尿もれを経験しているという事になります。

◎産後に多い尿もれと、その原因

産後に特に多い「腹圧性尿失禁」は、何かのきっかけでおなかに力が入ったときに起こる尿もれです。
骨盤底は、妊娠中の子宮の重さで圧迫を受けたり、分娩時には産道を通って赤ちゃんが出てくるため、骨盤底の筋肉は強く引き伸ばされて、中ほどでちぎれたりつけ根から剥がれたりすることがあります。

また、妊娠中は「リラキシンホルモン」などの影響で、靭帯や筋肉にも影響があり、骨盤内の筋バランスも変化します。
そして、姿勢や体幹のバランスの変化で骨盤底筋への負荷が過度に起こることも多いです。

最後に、膀胱の働きを調節する神経にも大きな影響が及ぶため、出産直後には人によって尿意を感じにくかったり、おしっこが出ないなど、尿もれだけなく排尿に関するさまざまなトラブルが起こります。
通常、神経の働きはゆっくりとほぼ回復しますが、特に難産だった人などは、骨盤底の筋肉や靱帯が骨盤底をサポートする力が不十分になり、中高年になってから尿道を絞める力が不足して腹圧性尿失禁が現れることがあります。

症状を感じる時は、「せきやくしゃみをする」「笑う」「走る・ジャンプをする」「重い荷物を持ち上げる」などの際に起こりやすく、症状が進むと、「立ち上がる」「歩き始める」などでも尿がもれる場合があり感じたことがある人は多いのではないでしょうか。

◎ デリケートな尿もれの悩み、どこに相談したらいいか分からない…

つい尿もれというのは、恥ずかしさもありどこに相談したらいいのかわからない、相談しにくいことだと思います。
「産後から随分たってしまった!」という人も含め。

実際、私のところには「実は、尿もれに悩んでいるです。」と打ち明けてくださる方は
パーソナルレッスン(1対1でのレッスン)をきっかけにという方が多く、
ママとの関係が密になってからでないと打ち明けてられないデリケートな悩みなんだなと感じています。
(悩んでいる方はお気軽にお問い合わせ下さい。)

◎ 尿もれ予防のトレーニング

尿もれを予防するためには、骨盤底筋群のトレーニングが効果的です。
骨盤底筋群のトレーニング方法は、たくさん方法はあります。ネットにもたくさんトレーニング法が載っていると思います。

骨盤底にある骨盤底筋を上手に使う目的で行うトレーニングが代表的です。
肛門、尿道、膣全体を締め、陰部全体をじわじわっと引き上げる感じで、骨盤底筋を徐々に動かし脳とリンクさせて行くことです。
これは、普通のトレーニングと同じ日々のケアが大事になってくるでしょう。

しかし、そこだけでのアプローチではなかなかうまくスイッチが入らないことがあります。
これは、骨盤のゆがみや日頃の姿勢からくる筋バランス、そして呼吸との連動もあるので連動する筋肉へのアプローチが必要です。
一概に、「骨盤底筋」だけトレーニングをすれば尿もれ改善に効果がある、というのは難しい状況です。

しっかり、骨盤・姿勢・連動する筋肉などアプローチしながら、
また産後の女性は脳とのリンクをしながらアプローチできることが必要でしょう。
(産後の専門家がまだまだ少ないのが現状で、そこまで見ながらケアを指導できる方は少ないなと私は感じています。)

また、トレーニングでも改善しない場合には、
薬物療法や手術療法が検討される必要があるのではないでしょうか。

About The Author

松山くみ
保健師・看護師・産後ケア講師。
自身の経験から「産後ケア」の必要性を強く感じ、
看護師や産後専門保健師の経験を生かし、メディカルな視点から産前・産後にまつわるケアを、周りのママたちに提供している。
現在も保健師として、名古屋市の「赤ちゃん訪問」を担当している。