まちの保健室-松山くみ

保健師・看護師・産後ケア講師 [名古屋・豊田・東郷町]

働くママを応援したい!

産前・産後に関するトラブルについて、
保健師・看護師・産後ケア講師の松山くみが
産後のプロフェッショナル目線でコラムを連載してきます!
※毎月更新予定

女性の社会進出から考えられること

近年本当に働く女性、ママが増えてきました。国の政策でも「女性が輝く」ことを掲げられ
・2020年の第1子出産前後の女性の継続就業率を55%にする
・2020年の男性の育児休業取得率を13%にする(2011年2.63%)
・指導的地位に占める女性の割合を2020年までに30%程度にする
・2017年度までに約40万人分の保育の受け皿を整備し待機児童解消を目指す

などなど、上記の目標が見られ国の方も女性の活躍を推進している流れが見られます。

私が出産した頃の約10年前は復職し続けることが難しかったそんな時代でした。その頃は、1歳で復帰し働くことを選択する女性が少なく、「なぜ子どもが小さいのに働けるのか?」とも周りの方達に言われることが多かったです。そんな10年前に比べると、女性が寿退社・出産後退社を選択せず何かしらの形で仕事を続けている方が増えているなと感じます。
 私が、ここ10年近く保健師として赤ちゃん訪問の仕事(生後3ヶ月ぐらいまでの母子のところに伺う仕事で専門的立場からのアドバイスをする)です。そんな中で、ママたちの相談内容として特徴的に変化が見られます。

・「どうやったら保育園に入れますか?」
・「保活(保育園入園活動)はいつぐらいから?」

などなど、上記のような質問内容がとても増えて来ており、ママ自身も「働く」ことを主体的に選択する状況へとなって来ているのだと感じています。

 このように現場でもママたちの意識や環境の変化があり、女性の社会進出における大きな問題点・不安点は、出産・育児と仕事・家事の「三立」が大きな柱になってくるのではないだろうか。

日本の、『企業で働く=長時間労働』という面が、三立を難しくしているといえるのかもしれません。
数年前よりは、女性の活躍を国も意識するようになっており、女性が働く、ママになっても続ける方が増えて来ているが、現状はまだまだ待機児童の問題や会社自体の制度の問題、人材不足の問題などあり、現実ママが仕事復帰するための三立に苦戦している方も多いのではないでしょうか。

「女性が仕事をしていくこと」見えて来た問題、考えられる問題

 女性の社会進出により、復職に関する制度が少しずつ充実してきておりより考えやすくはなりました。しかし、働く女性の約6割が第1子出産を機に離職または転職しているのが現状です。

理由としては、育児と仕事の両立に対する不安・体力的なもの・ハラスメント的な環境などがあります。(平成28年6月 「第一子出産前後の女性の継続就業率」について内閣府より)

 その中でも妊娠・出産でアンバランスになった心身のケアは、必要になってくる時代が来ているのではないかと思います。
 以前産業保健師で働いている先輩からのお話のなかで、育休などの制度や復帰後の受け入れ環境も整い始め、子育てしながら復職が昔より働き続けることが可能な時代へ現場の声からも考えられます。

 しかし、復職後の心身の不調から女性が働き続けることが困難なケースをたくさん見て来たそうです。出産という大きな心身のダメージを受けつつも、復職を迎え多重となる役割からママの心身の負担が過重になり、結果的に長期の病気療養になったケースが何人か看て来たそうです。このようなことからも、ストレス社会の背景とママの社会進出はますます考えられることは、心身の不調を抱えながら多重の役割を担うママが増え、うつ病等心身の不調を発症し働くことが十分に担えないママが増えていくのではないかと考えます。
 ママになるとどうしても子育て中心となり自分のケアは二の次・後回しになり、健診の受診率も低くなる時期です。「自覚症状がないので・・・」「子どもがいて健診にいくことを伸ばしてしまう」などの理由から、早期発見できる病気も手遅れになることもあります。そして、腰痛や肩こりなどの身体の不調は、慢性的な痛みが出るまではケアにかける時間はとても作ることができません。そして、このような慢性的な心身の不調は、仕事や家事などの効率は下げる原因となっているのではないでしょうか。

 また次に考えられるのは、地域での子育てする意識の希薄化ではないでしょうか。働く女性が多くなり出産するまでは、本当に病院と会社との行き来だけである。核家族が年々増え、実の両親がまだ仕事をしていたり、曽祖父母たちの介護などの理由で里帰りを選択するママも減っています。そのため、孤育てな状況となり一人で大きな不安を抱えながら産後の生活・子育て期間を過ごしている人も多いのではないか。

地域に産後ケアに関する支援があっても、ネットの情報が過多になり上手く地域に根ざした社会資源が行き渡っておらず、ママになってどこに相談して良いのか子供を抱えながらさまよっているママが増えて来ているのではないでしょうか。

働くママたちにこれから必要なもの

 今後働く女性に必要なものとして、女性の健康をサポートする企業内で「女性のための保健室」が必要になってくると思います。独身時代から、女性特有の悩み(生理不順や妊娠・出産など)について相談できる場所を作るなどし、小さな不調や人に相談できない悩み、自分の心身と相談しセルフマネジメントをしながら心地よく働ける会社を目指し女性のライフステージに合わせたサポートがあることで安心して働くことができるのではないでしょうか。

 そして、育休中で一度働いていた会社との関係は一旦希薄になります。
そのことから、「復帰できるのだろうか」など漠然とした不安を抱えながらの育休を過ごすことになります。
復帰した先輩たちとの交流、育休中の他のママとの交流などの機会を持つことで復帰後の生活もイメージできるのではないでしょうか。
この交流は、自分の子育てや育休後の支えにもなり孤育て防止に働きかけるはずです。

また、最近企業内では産休・育休に入る人、入った人のための研修があります。
その中でもぜひ、自分の身体の変化のことを学び興味を持ち、ぜひ健診率にもつながるようママのための健康講座のようなものを取り入れ、ライフステージの充実につなげるような研修を取り入れて行く必要があるのではないでしょうか。

 そして最後に、地域では母子手帳を受けたるところから始まる地域との関係があります。
そこから継続される母子の支援やケアが必要なのではないでしょうか。
「まちの保健室」のような母子がいつでも支援やケアが受け取れる場所があり、地域に根付いた場所にあるからこそこの先を見据えた子育てが安心して地域でできるのではないでしょうか。

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About The Author

松山くみ
保健師・看護師・産後ケア講師。
自身の経験から「産後ケア」の必要性を強く感じ、
看護師や産後専門保健師の経験を生かし、メディカルな視点から産前・産後にまつわるケアを、周りのママたちに提供している。
現在も保健師として、名古屋市の「赤ちゃん訪問」を担当している。